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この記事では私が先日受講・体験したExtended Range講習1の概要を紹介します。

2025年に縁があってテクニカルダイビングを始めてから、これまでに2つの講習(Advanced Nitrox、 Decompression Procedure)を受けてきたので、今回は3つ目となります。

アメリカ大洋海気庁(NOAA, National Oceanic and Atmospheric Administration)は、テクニカルダイビングを「より複雑で困難なスキューバダイビングの一形態2」と定義しています。
例えば、水中洞窟潜水、大深度への潜水、ヘリウム等の混合ガスを利用する潜水、リブリーザー(呼吸循環装置)の利用がこれに該当します。

私が受けてきた3つの講習は、通常のレクリエーショナルダイビングでは行かない深度や潜水時間を達成するための中核的な技術、すなわち減圧や潜水計画、運用手順を学ぶものです。

Extended Rangeでは、学んだ技術および知識を活用し、実際に特定深度(最大55メートル)までの潜水を行いました。

潜水計画

一般的なダイビングの場合は、現地で器材を準備して着替えた後に簡単なブリーフィングを行い、すぐにエントリーします。

Extended Range講習等、テクニカルダイビングを学ぶコースでは、はじめに潜水計画を立案します。
計画では、潜行を始めてから水面に戻るまでのタイムラインや、引き返す条件・制限時間等を定めます。計画作成には様々な要素を考慮する必要があります。

  • 水深何メートルまで潜るのか
  • 最大水深に何分滞在するのか
  • 各メンバーの空気消費量
  • 持っていくガスの種類(空気、ナイトロックスその他)
  • 水温
  • その他

こうした要素を総合して、計画が策定されます。
アプリを利用することもできますが、講習では学習も兼ねて手計算で実施する場合もあります。

現地に行って、素早く準備してドボンと潜るダイビングと違い、1回、1回の計画を綿密に立てるため時間はかかりますが、非常に勉強になります。
特に、深度が深くなればなるほど、ガスの消費や窒素の蓄積が早くなるのを実感しました。

潜水計画ができたら、指導者にチェックしてもらった後、一緒に潜るメンバー(バディ)と情報共有します。
また、それぞれ指揮官は誰、時間管理は誰、水底で行う練習等の指示は誰、といった役割分担を行います。他には装備の確認、合図の確認もします。

このような活動はレクリエーションダイビングとは異質です。
ファンダイビングでいつまでもあれこれ相談していたらさっさと準備しろと言われるでしょう。

50mまで潜る

今回の講習では計画潜水4回、スキルトレーニングのための潜水4回の合計8ダイブを行いました。

計画潜水では、最大50mまで潜りました(講習での最大深度規定は55メートル)。
この深度の場合、窒素が急速に身体に浸透するため、水面に浮上する前に減圧停止が必要になります。

減圧停止を伴う潜水では、メインの空気に加えて、バックアップの空気、減圧用の高濃度酸素(Nitrox)の3つのシリンダーを使用しました。
高濃度酸素は、減圧停止時に窒素を排出するために利用します。酸素は濃度ごとに定められた一定深度を超えると失神等の障害を引き起こすため(中枢神経障害)、水深何メートルで使うかを厳密に管理・確認する必要があります。

ER講習で利用するシリンダーは3つ……背中の空気、左脇の空気バックアップと、高濃度酸素(Nitrox)

過去最大の深度まで行ったものの、特に窒素酔い等は発生しませんでした。
深い場所まで行くと窒素が酩酊作用を及ぼすことがありますが、その症状には個人差がありまたその時の体調や環境にもよるとのことです。

スキルの練習

講習では潜水に係る物理学や生理学、減圧の仕組みといった知識事項も学びますが、それらを水中で実践するためのスキルも練習しました。

水中での使用ガスの切り替えや、トリム(姿勢)・中性浮力の維持を繰り返しやります。
今回はドライスーツで潜ったので、ドライスーツの空気調整にも配慮しました。

このような練習に没頭していると、たまに魚が近寄ってきます。
私は魚の名前をあまり覚えられていませんが、タイ系の大きな魚もやってきます。

今後の方針

2025年は、指導者のおかげで大きな事故もなく3つのテクニカル講習を終えることができました。
特に今回のExtended Range講習では、より深く、長く潜るための知識や計画の立て方、実際のガス運用等を学びました。

技術は使わないと徐々に忘れてしまうので、今後も継続的に練習していきたいと思います。

私の将来目標は、洞窟潜水の技術を学び、また長時間潜るためのリブリーザーの運用を学ぶというものです。
2026年からは、まずサイドマウントBCDの使い方を習おうと考えています。

  1. https://www.tdisdi.com/tdi/get-certified/extended-range-diver/ ↩︎
  2. https://oceanexplorer.noaa.gov/technology/technical/ ↩︎
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